ひかり雑記

親愛なるしむどんに捧ぐ

活性化エネルギー

化学変化はエネルギー準位の低い状態に落ち着くように生じる.でも世の中のすべての物質が酸化してるわけでもないし,単体の状態で存在する物質もたくさんある.なぜかというと,化学変化それ自体にエネルギーが必要だからだ.最終的なエネルギー収支がプラス(?)だったとしても,化学反応の時点でエネルギーが必要なのである.

 

坂の上にボールを置いたとしても,必ずしもボールは転がるとはかぎらない.それはボールと地面の間に生じている静止摩擦係数が,重力の力と釣り合っているからである.その釣り合いが何かの拍子に崩れると,ボールは坂の下まで止まることなく転がり続ける.

 

なにかが起こるには,その何かがおきる必然性の他に,口火を切るだけのエネルギーが必要なのだ.そんなエネルギーのことを活性化エネルギーという.活性化エネルギーがバリアとなって,物事はなかなか進まない.誰かが背中を押してあげないと,たとえそうなることが物理的に必然であっても,なにも起こらない.